どんつきを右に曲がって左のかどっこ

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天使のウインク・3

さて、 この 続きです。

私が入院することになった循環器病棟の看護師はどうやら三交代制で勤務しているようで
早朝から夕方までと、昼すぎから深夜までと、夜から翌朝まで、という具合にオーバーラップしながら
ひとつの病室につき三人の看護師が入れ替わり立ち代わり、入院患者の看護を担当していた。

私が、うちの病室担当の看護師の一人である彼女に最初に出会ったのは、
二日目の早朝、起床時の検温及び血圧測定の時だった。

深夜未明に突如として「考え」を始めた私はいつのまにか寝てしまっていたようで
まだ夜明け前の薄暗い中、恐らく6時前頃に、
廊下と病室の照明を点けながら、「おはよう、○○さん。検温の時間ですよ~」と、
一人ひとりのベッドを訪れては小声をかけていく、彼女のその気配で目が覚めた。

六人部屋のこのベッドの並びの順番的に次は私だな、と思って寝ながら待ち構えていると
私のベッド廻りのカーテンが、様子を伺うように遠慮がちに静かにそっと開き、
背が高くて肩幅が広い、でっかい女…もとい、健康的に体格のいい看護師さんが現れた。
その落ち着いた雰囲気から、歳の項なら私と同世代か二つ三つ上かな?と思った。

「りちさんおはようございま~す。今日この病室を担当させていただきます、ヤマナカ(仮名)です~。昨日の夜中に入院してきたのよね?苦しかったよね~?今、胸の痛みはどう?大丈夫?」
とか言いながら、彼女は私の腕を取って血圧を計った後、体温計を手渡して
「お熱は自分で計ってね。あとで体温計を回収しに来ますのでw」
とか言って、またカーテンを閉めて去って行った。


寝起きの私は当然コンタクトをしてなかったので、ヤマナカさんの顔がよく見えなかったが
彼女が優しい笑顔でほほ笑んでいることだけはなんとなくわかったので
私にとってヤマナカさんの第一印象は好印象で、なんかいい看護師さんだと思った。


ただ、ヤマナカさんが私にかけてくれたその声が
欧陽菲菲、或いは小比類巻かほるバリのハスキーヴォイスだったので、
寝起きで半分ボケていながらも、常に「笑い」を忘れない私は、

「ゲイバーかw」 と、心の中でそう一応ツッコんだ。



ヤマナカさんは本当に心根の優しい看護師さんでね。
「平均年齢推定80才」の同じ病室の入院患者(お姉様方)が、

薬ストライキを起こして「心臓の薬も血圧の薬も絶対飲まない」とゴネても
「嫁が何時に面会に来るのか聞いてくれ」と、仕事中の息子の嫁の携帯に一時間毎に電話を要求しても
「お父さん(旦那)に着替えを持ってきてと頼んだら、わからんから娘に言えと断られた」と嘆いても
「さらには娘に、お父さんが自分の身の回りのことが出来ないのはお母さんが甘やかしたせいや。そのことで私が迷惑していると責められる」と愚痴っても
病院食は味がないから美味しくない、どこその店のお漬物が食べたいとワガママを言っても
「手が痛い足が痛い腰が痛い頭が痛い…痛いって言うか私は頭が悪くなってる、もう私はボケた」とか、
そんな「かまってほしい病」を発症しても

そうしてお姉様方が朝から昼までのたかが数時間の中で、次から次へとあらゆる「個性」を魅せても、
ヤマナカさんは絶対に嫌な顔をしなかった。

「そうよね~」 とそれを否定しないであげたり
「あるわよね~」 とそれに同調もしてあげたり
「いいのよ~」 とそれを許してもあげたり
「それはダメ。○○さんは病気を治すために入院してるんだからね」 と、時には折檻もしながら
自分より倍以上も年上であろうそのお姉様方に、まるでそれは「聖母」のように接していた。


「天使」っているんだな…と思いました。


ヤマナカさんは確実に「ナイチンゲール」の産まれ代わりだと思った。

私なら正直そんなことに毎分毎時間毎日毎日付き合っていられないですよ。
「子どもならともかく、あんた私の何倍生きてるねんな?ええかげんにせえよ」
とか、多分思ってしまうだろうし、


「ほなもう薬飲まんとけ。それでええんやろ?」


とか、究極のことを言ってしまう自信がある。
でも、そこで諦めない辞めないヤマナカさんってもうどんだけ「白衣の天使」なのかと。



私はまた「考え」を始めた。


確かに、確かにオカマみたいな「ダミ声」やけど、この人は本物の天使だ。
この「ダミ声」に関して言えば、例えばそれは…そうやな…。


「若い頃に水商売をしていて、酒で喉をやられた」とか?


いや、むしろそれなら納得のいく説明がつきますよ。
何故なら、水商売の女の人はわりかし情に厚く、弱ってる人に優しいところがあるので
昔は水商売をしていたヤマナカさんがフィールドを変えて今看護師をしているとしても
それはあながち全くありえない話ではないじゃないですか。

過去は今に繋がっていて、今は未来に繋がっていく。
昨日が今日に続き、今日がまた明日に続いていくのだが、
その未来の全貌なんてものは、今はまだ見えないものなのだ。

水商売をやっていたヤマナカさん(←もはや断定)は、その頃は
自分が後にまさか看護師になるなんて知り得もしなかったかもしれないし
よくわからない持病がありつつ、さらに聞いたこともない病気を疑われて拘束されている私も
明日あさってでは無理でも例えば十年二十年後には
今は全く見えない未来をまた生きているのかもしれない。


よって、この今回の試練で神様が私に投げかけた問いの答えは


「焦るな」


かな? と、思った。





だが。


昼一の検温及び血圧測定の時、ヤマナカさんがぶらさげている名札を間近で見て


「山中太郎(仮名)」 


という、そのもう明らかに男性の名前を確認した時、考えの全てが逆に白紙に戻った。



神様はものすごい難題を私に突きつけてきたぞ、と。




私はそういった「性の形」についてはわりと許容範囲が広いほうなんですね。
私がいわゆる「オカマさん」の世界観に出会ったのは、ハタチの頃でして、
祇園の「カルシウムハウス」というゲイバーにちょいちょい遊びに行っていたんですよ。
その中で、女の私よりも女以上の気遣いも出来る「彼女ら」に感銘を受けましたし
無駄毛処理の箇所ごとに四本のカミソリを使い分けているという「彼女ら」の努力に脱帽しましたし、
なおかつ彼女らは「男に不快感を与えない、押したり引いたりの笑い」も完璧に出来るので
変な話、今付き合ってる彼氏がこんな「オカマさん」にハマったら、
私はもう勝ち目がないかもしれないとすら思うぐらいの驚異の存在でした。

余談ですが、当時まだ全然売れてない駆け出しの頃のはるな愛ちゃんがその店にいまして、

「お化け屋敷へようこそ~~~」

みたいな、残念ながら化け物が拭いきれないお姉(お兄)様方の中で、
はるな愛ちゃんは「逆に浮く」ぐらいにもうダントツで可愛かったですし、普通に「女の子」でした。
ショーの中で意地の悪い客に「おまえ○高(男子校)の大西やろ!w」とか
そんな汚い野次を飛ばされては悲しそうな微妙な表情もしていましたけど
彼女が今や「俺の本名は大西ケンジや!www」ってそれをネタにも出来るようになったのが、
なんか良かったな、って思います。



話戻って。


そんなわけで「オカマ」にはある意味寛容な私ですが、
「白衣の天使の看護師」 いや 「看護婦さん」 が実は男でした、ってなったら、
それは思考がちょっと停止しました。


オカマの看護婦とか、実際に?……実際に!!!


男の看護師さんも病棟には少しはいましたけど、
この聖母ヤマナカさん(白衣の天使)が「男」って知ったら、逆に誰でも「話」は白紙に戻るやろ?


っていうか、普通、女性の入院患者の病室担当に「男」の看護師は付かないので…。


ヤマナカさん、あなたは一体何者なんだぜ?



続く


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  1. 2009/11/04(水) 23:40:08|
  2. 闘病?ネタ

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Author:りっさん

京都に生まれ京都で育ち、          放浪の末、京都に舞い戻った女

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