どんつきを右に曲がって左のかどっこ

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天使のウインク・4

さて、 この 続き。


胸痛発作が治まり、かつ、自食できているということから、まずは点滴を外してもらい、
続いて、血中酸素量も順調に90%を推移しており、もうほぼ心配ないということから、
日中は酸素チューブと血中酸素量を測る指のクリップも外してもらい、と、かなり身軽になった私だが
依然、左胸の24時間監視型心電図モニターの機械は取ってもらえず付きっぱだったので
絶対安静は一応解けたものの、循環器病棟のフロアーから出ることはまだ許されなかった。
何故なら監査室であるナースステーションから遠ざかると心電図の電波が届かなくなるとかで。

だが、その時の私には、
「この真下にある一階の売店で立ち読みすることすら、まだできないのか…」
というような類の悲壮感は全くなかった。
何故なら、そんなことよりも今私に与えられている使命を私はもう見つけてしまったからだ。


オカマのヤマナカさんについての観察。


ヤマナカさんが、いわゆる「おねえマン」な人であるのはもう判ったが
彼女の中にある男と女のパーセンテージは果たしてどれぐらいなのかがわからない。
もっと言えば、「ヤマナカさんの性自認はどっちなのか?」ということだ。
産まれもった性を越えようとする人と付き合うにおいてそこを間違うともう致命的であると私は考える。
そこをうっかり間違ってしまうと、彼ら彼女らはまさに計り知れないほど傷ついてしまうだろう。
だが、彼ら彼女らは例えそれを傷つけられたとしても、その傷つきについての主張をあえてしない。
何故なら、「むしろ自分のほうがおかしいんだ…」という思いがきっと常にあるんだろうと私は考える。

ですから例えば今回のヤマナカさんの場合でいうと
ヤマナカさんが「私は身も心も女性なのよ。なんてったって、私はナースだし♪」と思っているなら
それは完全に女性として接しなくてはいけないし、ではなくて
ヤマナカさんが「私は心は女性なの。だから私ってば、なんちゃってナースなのw」と思っているなら
概ね女性、ネタ的に男性ぐらいで接して、なんか多分オッケーなんですよ。


そうして私がヤマナカさんを観察し、また細心の注意を払いながら彼女に接しているのも関わらず
同室のお姉様方は、オカマ言葉満開で女形のような一挙手一投足をしているヤマナカさんに対して

「あんたは100%男」

的な発言と接し方を平気でしていたので、逆にそれを見聞きする私のほうがなんかもうハラハラした。


例えば、藤田さん(仮名)の清拭の時。

藤田さん「男の人に体拭いてもらうとか悪いなあ~」
ヤマナカさん「いいのよ~」
藤「でもほんまはいややろ?男が女の体拭くなんて情けないやろ?」
ヤ「……藤田さんはいや?」
藤「私はいややないよ。でもあんたがいやなんちゃうかと思ってなー。男が女の体拭くなんてなあ」
ヤ「だってお仕事だもの~」
藤「なんぼお仕事でも男が女の世話するとかいややろ」
ヤ「ぜーんぜんいやじゃないわよ~」
藤「そんなん男がする仕事と違うやろ?女の体拭くとかほんまはいややろ?男が女の世話するなんか情けない事やで。男が女の世話するとかな…………」


っていうか藤田の姐さんしつこい!ハウス!!!


例えば、中川さん(仮名)の検温・血圧測定の時。

ヤマナカさん「血圧、すごくいい感じよ~」
中川さん「そうですか~そらおおきに」
ヤ「先生もきっと喜んでくれはるわ~。中川さん、お薬もちゃんと飲んでくれてご飯も残さんと食べてくれて、本当に頑張ってくれてはるものね」
中「先生、喜んでくれはるかー。それは嬉しいわ。そやけど、先生も大変やけど、あんたら看護婦さんも大変やなあ。朝来たり(出勤のこと)夕方来たり、夜中に来たりしてなあ…」
ヤマナカさん「そうね~。実は大変なお仕事なんですよ~w」
中「あんたも体壊さんようにせんとあかんよ」
ヤ「いや~ん、ありがとうね~。中川さん今日は優しいのね?お熱があるんと違う?w」
中「男やからって、人よりきばったら(頑張ったら)あかんで」
ヤ「そうね~。だけど女性の看護師さん達もみんな頑張ってるのよ~。さあ、中川さん、お熱計ってね」
中「女の看護婦は冷たいしキツい。私はずっとあんたに居てほしいわ」
ヤ「あらあらw…さ、中川さん、そろそろお熱計ろうか~」
中「女の看護婦はあかんわ。キツい。男の人のほうがかえって優しいわ。女はいらんわ、女はいらんで。女はキツいからな、女は…………」


っていうか中川の姐さん早く熱を計れ!
この空気を読め感じろそしておまえもハウス!!!



神様からの出題に挑み中の私は一人黙々とその答えを見つけるべく悟りを開こうとしていたので
概ねベッド周りのカーテンを閉め切って下界を一切遮断し、いわば「スーニャ」の世界にいたので
そんな時折々のヤマナカさんの表情を全てタイムリーにうかがうことは出来なかったが、
そのようにさらりと「男」認定される時、ヤマナカさんの声のトーンが若干下がるのを聞き逃さなかった。
でもやはりこう、なんかイマイチ決定打に欠けるというか…
例えばお茶やお花や踊りの名家なんかで女性に囲まれて育った男性などは
物腰も柔らかく穏やかでちょっと中性的なところもあるので、そっち系かなとも思ったが
だがそれにしても、「逆に私がこれを学んで今後、店で爺婆おばはん相手の話術に生かしたい」と思うほど
お姉様方を巧みにあしらう、このヤマナカさんの「オバハントーク」はなんか完璧であり、
これは「普通の」…というと御幣があるが、「概ねが男性」の人にはなかなか出来るものではないのだ。
何故なら、これは確かに私が若かりし頃におかまバーで見た「それ」そのものなのだから。



そうしてヤマナカさんに釘付けになっている私の元に、いちごとももを丸投げされている最中の彼氏さんが
「誰もが実質守っていない面会時間」をアホみたいにちゃんと守って、午後2時以降に面会に来た。
彼は、私が一番心配しているいちごとももの様子をまず一番に伝えてくれた。
「…そんな感じで二人とも元気にやってるし、俺が仕事で無理な時は、ももの保育園の送り迎えのことも含めて、ミニャさん・とみぃさんに協力してもらえるよう頼んであるし、今月一杯は子どもたちのことについての段取りがついてるから。だからりちは何も心配しないで、とにかく今は自分の体のことだけを考えてゆっくりしてなよ」
と言った後、「で、りちのほうはどう?」と聞かれたので、私は
「うん。あのね、かっちゃん(彼氏さん)ちょっとこっちに来てくれる?」と言って病室を離れ、
心電図モニターがギリで働く、病棟の廊下の一番隅の隅っこのベンチに彼を誘導して、言った。


「あのね、うちの病室の担当の看護師さんがね、コレ(右手を揃えて左の頬に当てる。古より伝わるその典型的表現法を再現)なんですよ」



彼氏さんは
「おまえはこの期に及んでまたそれかwそんなんかwwwどうしてそういつもおもしろおかしいほうに話を持っていこうとするんだよアンタはwww」
みたいな目で私を見つつ、「いや、でもほら看護師って女社会だからさ~」と言った。

私「あ、なんか、女社会だから少しぐらい女化もするやも…とかいう話やと考えてる?」
彼「違うの?w」
私「全くもって違いますね。そういうレベルの話とは違うレベルの話なんです、ヤマナカさんのことは」
彼「そうなんだ?w」
私「そうよね~、あるわよね~(声真似)とか言うて、しかも歩き方はマリリン・モンローよりもむしろモンローなほどのモンローウォークなんやで?歩く時の両手の位置はペンギンみたいにこう、腰の横に据えてな、指先を上に向けてぴょんと上げてはるねん」
彼「んなやついないってww」
私「だってほんまやもん!!!」
彼「てかあんた入院してるんだからちゃんと大人しく休んでなさいwww」


「あんまり病室を離れるのもあれだから」、と彼氏さんに促されて病室に戻る途中も、
私の陳情はずっと続いていた。

私「なー、かっちゃんってば!ちゃんと聞いてよ!!!」
彼「うんうんw」
私「ほんまにほんまやねんってば!オカマの看護師がこの病棟にいるんですよ」
彼「ないないw」
私「チッ(←舌打ち)あんたもヤマナカさんに会うたらわかるわ!」
彼「はいはいw」


まるでそれは

「おかあさーん!あそこの戸のとこにオバケがいるよお~」
「何を言ってるの。オバケなんて本当はいないのよ」
「いるもん!ほんとにいるんやもん!!だって見たもん!!!」

みたいな親子の会話さながらだった。くっそー。


ひとつだけ言いたいことは


自分が信頼しており、かつ、自分の大好きな人が
自分の気持ちをまるでわかってくれようともしないという悔しさは
子どもでも大人でも、それは同じことだ。





話戻って。



そうして病室についてベッドに並んで座り、またしばらく近況報告の雑談などをしていたら
なんとタイミングのいいことに

「○○さ~ん、昼食後のお薬はちゃんと飲めたかしら~?」

というヤマナカさんのその声がフレームイン(入室)してきたので、私は

「ヤマナカさん来た!彼女が(オカマの)ヤマナカさんだよ!!!」

と彼氏さんに目で訴えたら、彼氏さんはなんか横で固まってしまっていた。





ほら見ろ!!!だから言うたやろが!!!




ヤマナカさんが病室の患者の一人ひとりになんか話しかけているのを私たちは声を殺して聞いていて
そしたら、「りちさ~ん、おかげんいかが~?カーテン開けますよ~」と言って、
ヤマナカさんが私のベッドのカーテンをそっと開けた。

念のため言っておくが、別になんかこう「いちゃついて」いたわけでもないのに
ただベッドに並んで座っている「だけ」の私と彼氏さんを見てヤマナカさんは
「あらっ、まずいとこ見ちゃったかもw」みたいな「思わず」といった感じで手を口元に当てて息を飲んだ。

つーかそれ、昭和の少女マンガにしか出てこないだろ、なにそのリアクションwww
というそんな動きを魅せた、乙女よりもうなんかだいぶ乙女なヤマナカさんは、
気を取り直して彼氏さんに一礼してから、私の今の体調や痛みの具合などを聞き、
明日の朝にまた心電図の検査と、今日の夕方にまた採血があるという情報を教えてくれて、
去り際に妖しい流し目で彼氏さんのことをもう一回見て、そっとカーテンを閉めて去った。


彼氏さんは半笑いと苦笑いが混じったような複雑な顔で、さらにますます固まっていた。


その彼氏さんの反応から、それがある意味私の中での「ヤマナカさんの決定打」になった。
神様からの出題を解くにおいて、彼氏さんは本当にいい仕事をしてくれたと彼に感謝しています。

てか、私の入院が長引くと、
私の状況を聞くべくナースステーションに足しげく通うであろう彼氏さんが
そのうち「犯られる」かもしれないなwwwと、ちょっとそう思った。


次回、ようやく完結編に続く




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  1. 2009/11/07(土) 00:15:26|
  2. 闘病?ネタ

プロフィール

りっさん

Author:りっさん

京都に生まれ京都で育ち、          放浪の末、京都に舞い戻った女

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