どんつきを右に曲がって左のかどっこ

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「別れたあの人に贈る歌」を創る、その苦悩のこと。

さて。

実は先週、あんなふうに急に具合が悪くならなければ私は店の先輩のショウさんのライブに行けるはずだった。
ショウさんのバンドのライブは大概夜にやってはるんで、相方(旦那)がおらん母子家庭のオカンの私は、
晩に子どもらを預けて出かけることができないので、今まで一度もショウさんのライブを観に行ったことがないのだが、
その日は彼氏さんが子どもらを見ててくれるって言うてくれはったんでめっさ楽しみにしていたので残念だった。

ショウさんにライブ観に行けなくなったことを謝るとショウさんは
「ライブはまたやるから、ゆっくり早く元気になってまた観に来てえや」と言ってくれたが
今回のライブにはちょっと密かに思い入れがあったんですよね。


それは、ああして具合が悪くなる前の週の話。
ショウさんとタケちゃん(後輩のシングルマザー)と私がシフト一緒だった日のこと。
ショウさんが、私とタケに「二人に聞きたいことがある」と突然切り出した。

ショウさん「例えばさー、好きな人に好きな人がいたら、自分らどう思う?」
タケちゃん「えっ?」
私「???…あの、質問の意味がちょっとわからないんすけど…」
ショウさん「だから~、好きになった人に、好きな人とか恋人がいたら、自分らやったらどうすんのかなあ?と思って」


私「あー、そういうこと?そらもう奪い取る。」

タケちゃん「その恋人とやらを出し抜く。」

ショウさん「……。君らに聞いたんが間違いやった。」




私・タケ「うへへ」



ショウさんにはもうだいぶ長いこと付き合ってはる、とても相性のいい彼女がいる。
しかもショウさんはごっつシャイなので、普段は恋愛の話をほとんどしない人なので
その質問は本当に「例えば」の話なんだろう、ということはわかっていたが
なんのためにその「例えば」の話の回答を求めているのかがわからなかった。
でも、それきりショウさんは私とタケにはもうその質問を続けてくれなくなったので、私とタケは
「今の、何やったんやろな?w」
「さあ?最近暑いからショウさん逝ってしもたんちゃいますかw」
とか言いながら、特に気にも留めずにヘラヘラしていた。

その数日後、ショウさんとまたシフトが一緒になった時にショウさんが
「こないだりちさんらに質問した話の続きなんやけどさ~」とまた突然切り出して
その「例えば」の話についての全容を明かしてくれた。

その物語の主人公であるショウさんの友人のAくんは、B子さんという女性に思いを寄せていた。
だが、B子さんにはCくんという彼氏がいて、さらにAくんとCくんは昔からの友達だった。
よってAくんは自分の気持ちに気付いた時からその恋を封印することを決めていたのだが
ある日、B子さんとCくんが別れてしまい、AくんはB子さんを懸命に励まし、
そうこうしているうちにAくんとB子さんは付き合うことになった。
だが、しばらくしてB子さんは「やっぱりあなたとは付き合えない」とAくんに別れを切り出し
その数ヵ月後、B子さんとCくんの婚約パーティーのお知らせがAくんのもとに届いた。
AくんはB子さんに「幸せになってほしい」と願っていて、それをどうしても彼女に伝えたい。
という思いを歌にして新曲を書いてライブで歌ってくれ、とAくんから頼まれて
ショウさんは一生懸命、曲を作ってそれは完成したのだが、どうも歌に感情が乗らない、
もっと言うたらAくんのその伝えたい思いがどうもイマイチわからないのだと。

私「っていうか、もうなんっかチープなドラマですよね。安っすいハナシやでw」
ショウさん「安っすいハナシとか言うたるなw俺の大事なツレのハナシやw」
私「例えば、普段はどう感情入れていかはるんですか?自分の経験ばっかで曲創って歌ってはるわけじゃないでしょ?」
ショウさん「そやな~…普段はその歌を歌っている人に入るというか…どう言うたらいいか難しいな」
私「わかりますわかります。私がホン書く時と一緒やわ。その台詞を書いてるのは私やけど、その台詞を言うてるのは私じゃなくて私が生んだとある人で、だからその人に入って書く、みたいな」
ショウさん「うんうん。ただ、その曲はAくんの曲やからさ~」
私「でも曲を創ったのはショウさんじゃないですか」
ショウさん「そうなんやけどな~」
私「なまじっか実在の人物がいるだけにニュートラルに入れないって感じですか?」
ショウさん「あーそんな感じかもわからんわー」


この手の依頼っていうのは正直非常にめんどくさいんですよね。
依頼した本人にしたらやっぱものすごい思い入れがあるから、
ちょっとでも違う感じで表現したら「それは違う」ってなるし、
こっちにしたら「じゃあもうおまえが自分で思うように好きに創れや!w」ってなるんですけど、
「いや、自分ではそれをようせんから君に創ってほしいねん」っていう、なんか「わがまま」。

だが、「他ならぬツレの頼みやからなんとかいいモノにしたい」という熱いショウさんを見ていて
私も及ばずながら協力したいと思い、今一度「Aくんの思い」を掘り下げて考えていくことを提案したら
ショウさんは「うん、それやってみよう」と言い、二人で「Aくんの思い」を深めていくことにした。


私「てか、そもそも振られた相手に『幸せになってほしい』とかぶっちゃけ思いますかね~?」
ショウさん「不幸になるよりはそら幸せになってくれたほうがええやろ~」
私「自分は振られて不幸のどん底やのに、自分を振った相手には幸せになってほしいと?」
ショウさん「振られてもその子のことがまだ好きやったらやっぱそう思うんちゃうかな?」
私「なるほど。君に振られても僕はまだ君が好きやから君は幸せになってねと。なんか女々しいな~」
ショウさん「なんか女々しいとか言うなやw」
私「てか男ってほんまなんか女々しいですよね」
ショウさん「女々しいんと違うねん、純粋やねんって!」
私「そうですか、それは失礼しましたwてか話戻して、でもほんま言うたら一緒に幸せになりたかったわけじゃないですか?もっと言うたら自分が彼女を幸せにしたかった」
ショウさん「ほんま言うたらな。でもそれがもう叶わへんならせめてその彼に幸せにしてもらいや、と…」
私「その彼っていうか元彼ですけどね。なんかもうアホ丸出しですやん」
ショウさん「なんでアホ丸出しやねんな?」
私「だってそもそも元彼と別れてそれを励ましてる中で俺らは付き合ったのにやっぱ結局元彼とこ戻って結婚するわ~とか、俺の存在は一体何やってん?って話ですやん」
ショウさん「でもその時は彼女に必要とされてたわけやから…」
私「あの楽しかった思い出があれば俺は生きていけると?いや、嘘やろ。絶対嘘やわ~そんなん坊主じゃあるまいし」
ショウさん「坊主どっから出てきてんw」
私「いや、煩悩とか欲とかなさそうなイメージでなんとなくwてか坊主で思い出しましたけど、私のツレが若い頃に付き合ってた彼氏と別れて別の人のとこに行った時に、別れた彼氏にヨリ戻してくれって言われて断ったら鈴虫寺(*何でもひとつだけ願いを叶えてくれると有名な京都の寺)のお守り投げ捨てて行った、って言うてましたよ。『効かないじゃないか!』って」
ショウさん「えええっ!怖っわwww」
私「wwwいや、ほんま怖かったらしいけどねwwてか確かにだいぶ怖いけど、でもそれが振られた人の正直な気持ちやと思うんですよね」
ショウさん「でもそんなんしたら逆に嫌われるかもしれんやんか」
私「はい来た、いただきました『嫌われるかもしれん』。多分そこなんでしょうね。振られた上に嫌われたくないからその正直な思いは言えないんですよ。『なんで俺じゃダメなん?なんでそいつなん?』って。だから……?」
ショウさん「君よ幸せになってくれと、無理してええかっこを言う?」
私「振られたのにそんな余裕かましといたら、自分を見直してくれてあわよくば自分とこに戻ってきてくれるかもわからん、という打算もちょっとあったり?」
ショウさん「いやさすがにそれはないやろ~。他の男と婚約決まってんねんで?」
私「他の男と婚約決まってんのにまだ内心そんなん思うところこそ男の女々しさクオリティでしょ逆に。…てかそのご招待にしたって、よう俺に婚約パーティーの招待状送ってこれたよな?って正直思うと思いますよ?どの口で俺にそんなお知らせをするんですか?あんま俺をバカにすんなよ?って」
ショウさん「まあな~そのお知らせされるのは確かにキツイよな…」


私「ほんまはもう死ねぐらい思ってますよ。そんなおまえはもう死ね!」


ショウさん「……いや、違う。違うって!あいつはそんなやつじゃないよ…」 



私「あいつはいいやつとか今関係あらへん!今表現するべくはショウさんのAくんへの思いじゃないんですよ!内心かなりドロドロしてるけどええかっこ言うAくんのそんな思いなんですよ!」

ショウさん「もうやめてくれ頼むからやめてくれ!wwあいつはいいやつなんや、ほんまにええやつなんや…!」


ショウさんはかなり疲労困憊した様子で「自分、なんかほんまもうどうなん…」とつぶやいた。
だが安心してくださいショウさん。実はかく言う私も今かなり疲労困憊しています。
「人の心の本音に本気で寄り添った上でモノを創る」って、もうほんまに疲れますよね。
「ノンフィクション」とかほんましんどいですから、淡々とやれないならいっそもうそれはやらんほうがいい。

ちょっと話逸れますが、
例えば、愛は地球を救うの24時間テレビとかで障害者を扱ったドラマとか創ってる人とかそんな感じやと思います。
その対象に自分がなんか変に感情移入しすぎると、
多分書けなくなるし撮れなくなるし演技も演出も、もう何もかもうまくは出来なくなると私は思う。
よって、自分はどこか斜に構えてないと「ノンフィクション」はもうしんどくてやれないだろうと私は思う。


てなわけで。

ショウさんたちがその曲を演奏するというこないだのライブを
私はとても聴きに行きたかったんですけど、あの体調不良で行けなかった。
それを聴きに行って確かにそれを聴き届けた上で

「なんかほんまwお疲れさまでしたw」

と、そうツッコミ(ショウさんかなり頑張ったと思う労い)を送りたかったけど、
私は体調不良でそのライブには行けなかった。とてもとても悔しかった。



そんな私がひとつだけ言いたいことは


「Aくん。君は本当にいい友達を持ってると思う」
「でも、自分が伝えたいことはやっぱ自分の言葉で言わんとあかん」
「最後のあがきにクリエイターを担ぎだしても、彼女の心は動かせへんと思うで?」



てか、もっと言うと「そんなことやから」君は彼女に振られてしまったんですよ、って。



おまけ。


ショウさんと「あの」熱い談義を交わした、さらにその数日後。

用事のあった私がいつもよりちょっとだけ早上がりさせてもらう土曜出勤の日、ショウさんが
「あ、今日りちさん早上がりかー。どうしよかな…仕事上がりに相談したいことあったんやけど急いでる?」
と言うので、「急いでますけど、ちょっとやったら大丈夫ですよ」と私は答えた。
そうして私の上がりの時間になり、店舗の混み具合の隙を見て休憩室に走ってきたショウさんが
自分のロッカーからIPodを取り出し、何やら操作して私に渡した。

ショウさん「例の曲のデモやねんけど最終2パターンに絞ってんか。これとこれ、どっちがええかりちさんに聴いてほしいねん」
私「ええっ!てか私スタッフでもないのに未発表の曲とか聴かせてもろていいんですか???てかIPodとか触ったことないし潰したらどうしよう?…てか無理ですよ、なんか色々無理ですよ!」
ショウさん「りちさんが来てくれるライブでこの曲やるねん。だからもう時間ないから今聴き比べてほしいねん」

と、その時「レジの応援要請」のインターホンが鳴って、ショウさんは店舗に走って戻って行き、
取り残された私は色々恐縮しながら、取り扱いに自信のないIPodで「素人の耳」でその2曲を聴き比べ、
しばらくして、走って戻ってきたショウさんに
「誠に僭越ですが意見させてもらえるなら、私はこっちが好きです。歌詞も曲も直線的に伝わってきました」
と答えた。するとショウさんは「そうか、こっちか…。貴重なご意見ありがとう」と言った。
その、なんかちょっと気を遣った感じの反応に、多分ショウさんの中では、
「私が選んだのと違うほうの曲」をおそらくは発表しようと思ってはったのがもうわかった。

ショウさんはきっと「私が選んだのと違うほうの曲」をやっぱりライブでやるつもりなのがわかった。
「いいやつのAくんへの思いがちらほら反映されてて、色々詰め込んだそっちの曲のほう」をやるのだろうと。
何故ならば、「やっぱりショウさんはそれが歌いたいから」。
何故ならば、「やっぱりこれはAくんへの応援歌やから」。
それが、表現者・ショウさんの「なんかいいとこ」「素敵なとこ」なんやろうなと思って。
裏方の私にはない、スポットライトを浴びる表の人の「なんか、素敵なところ」。
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  1. 2010/08/04(水) 03:13:21|
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りっさん

Author:りっさん

京都に生まれ京都で育ち、          放浪の末、京都に舞い戻った女

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