どんつきを右に曲がって左のかどっこ

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帰省の思い出・2

さて、 この続き です。

ついさっきまで「頭の中は喧嘩ごし」だった私はそうしてユキちゃんと友達になり、
ユキちゃんと私は毎日毎日二人でツルんで遊んでいた。

そもそもおない年ぐらいの女の子のいとこがいないので、年が近いユキちゃんとツルむのが楽しかったのと
中学生にもなると、正直、街育ちの私は田舎の子(いとこら)とはなんかもう感覚?が違ってたんで
田舎の子でもちょっとヤンチャっぽい金髪のユキちゃんとはしゃべっててもなんか気が合った。
ちなみに、村の中学生を全員知ってるわけではないが、本家の兄ちゃんらやその友達を見ている限り
男の子はみんな揃って坊主頭、女の子はみんな揃っておかっぱ頭という出で立ちの中
髪を肩まで伸ばして脱色してるのはユキちゃんぐらいしかいなかったので、
多分ユキちゃんは当時、村で唯一のヤンチャ娘だったんじゃないかと思う。

ただ、「毎日ツルんで遊ぶ」といっても周りは田んぼと畑と山と海しかないので
自然の中を走り回っても別に楽しくはない中学二年生と三年生の私とユキちゃんは
家の前や道端に座ってお互いの学校のこととかをしゃべったり、
ある高校に好きな先輩が進学したから来年そこを受けるというユキちゃんの受験と恋の話や
憧れてる先輩がいるんやけどなんか変なやつにばっかり告白されるねんという私の恋の話や
あと「ホットロード」の登場人物で誰が好きとか、そんな話をしていた。

ちなみに先の記事の会話内にもちょっと出てきたが、
「ホットロード」というのは当時、中高生の間で大流行していたヤンキー(純愛)漫画で
少女向けの漫画雑誌に連載されていたのだが女の子だけでなく男の子も、姉や女友達に拝借して読んでいた。
ちょっと前に、年上のツレのおっさんが自身のブログで懐かしの「ホットロード」のことを
「ヤンキー少女達のバイブル的存在で~」と書いていて「まさにそう!」と大笑いしたのだが
例えば同年代の初対面のヤツに会った時、自己紹介や略歴などもう何も一切話さなくても、ただ
「ホットロードが好きか嫌いか?」「ホットロードのどこが好きか?」というこの二点を聞くだけで
もうそいつの傾向が全部わかるぐらい、ヤンキー界のみならずその世代の少年少女たちの中では
むしろ「秤」や「指針」となるぐらいの、なんかそんな漫画でした。もう泣くしね、泣いたしね。


話戻って。

まあそんな感じで飽きもせずに道端でトークばっかしてたんですが、
元気で明るくて、時に強引だが、積極的でよくしゃべるユキちゃんは
生まれ育ったこのど田舎が大嫌いなようで、都会暮らしに憧れと関心があるらしく、
街の中学生はどんなんか?とか、りちちゃんの普段の生活はどんなんか?などとよく聞いてきたが
日が落ちたら川の水の音と田んぼの蛙の声しか聞こえてこないというこの環境の中で
私が暮らしているその眠らない街の説明をするのは非常に難しく、言うても多分わからんやろうと思ったんで、
「絵の具の緑色があんまり減らへんねんかー」とか、なんかそんなことを答えていた。

一度、ユキちゃんが「今日はマチに行こう!」と言うので下関あたりまで連れてくれるんかと思っていたら
それは例の最寄りの無人駅からのローカル電車で三つか四つぐらい先の隣町だった。
駅を降りてちょっと行ったところにごく小さなオバチャン商店街?みたいなところがあった。
「これがユキちゃんのマチか~。ユキちゃんを河原町(京都の)とか連れて行ってあげたいなー」と思いながら、
たまに来る買い物客のおばちゃんを横目にその商店街の一角でアイスを奢ってもらって二人で食ってたら、
向こうから三人ぐらいで歩いてきたそのマチの中学生(チーム・学校ジャージ)になんかからまれて
「あんたら見かけんけど、何処から来たほ?」とかそんなん言われたんで

「京都。」

と言ったら、どうやら「よそ者にもほどがありすぎた」ようで、チーム・学校ジャージは黙って消えていった。
その後、「ユキちゃんのせいでからまれたんや」「違う、りちちゃんのせいじゃ」とかふざけて押し付けあったが
「目が悪いから睨んでるように見られてしまうユキちゃん」と違って、
当時の私はほんまに反骨的な目をしていたようで地元(京都)でもよくからまれていたので
「きっと多分私のせいやろうな…」と内心では思っていた。


そうして毎日毎日ユキちゃんとツルんでいたら、
ある日、本家のおっちゃんから「ユキと遊んじゃいけん。ユキは、あれは不良じゃけ」と言われた。
それを横で聞いていたいとこのチュータ兄ちゃんは自分の友達を悪く言われたことに怒り
「ユキは不良じゃなあ(ない)!」と意見した。

いつも学校で本意気の不良の先輩方と接している私から見ても、
タバコ吸うわけでもない(←タバコの自販機がないので親の使い以外で子どもはそもそもタバコを買えない)
原チャリパクって乗り回すわけでもない(←放置リヤカーならあるが放置バイクがないのでそもそもパクれない)
そんなユキちゃんは不良っていうか、不良に憧れている女の子って感じだったので
「ユキちゃんは不良じゃないよ。悪いことも勧めてきはらへんし」と私が意見すると
「そうじゃ!ユキよりりちのほうがよほど不良じゃ!」とチュータ兄がさらにそう意見し(なんかひでえw)、
だが本家のおっちゃんは、「もうユキとは遊んじゃいけんど!」と再度強くそう言い放った。



「もう一生言うとけ。」



その次の日、ユキちゃんはいつもの朝10時になっても私を誘いに来なかった。



「もしかしておっちゃんがユキちゃん家に電話して、もう遊びに来るな!とか言うたんかも…」
と、私は思った。
だが本家のおっちゃんは朝から畑仕事に出ていたので「その疑問に対する質問」ができなかった。


もしほんまにそうなら、私の知らんとこでそんなことがあったなら、
ユキちゃんは今なんかごっつ傷ついてるんちゃうか?と思って、私はもうユキちゃんの家に行くことにした。


本家のおっちゃんの言いつけ(ユキと遊ぶな)を破ることになる?
っていうか私は「その約束」は交わしてはいないので。
おっちゃんが勝手に「その規則」を強いてきただけなんで。



これ試験に出ますよ、中高生の子どもをお持ちの親御さん方。
約束が成立したことは守るが、一方的に敷かれた規則はむしろもう破っていきますよ。
何故ならば「自分が全然納得していないから」。



話戻って。


いつもはユキちゃんから誘いに来てくれていたので私はユキちゃんの家に行ったことがなかったが
なんか「あの奥の坂(ってか山道)を上がったとこが家」とかユキちゃんが言ってたのを頼りに
砂と草ですべるその道を私はペタンコのサンダル(俗に言うヤンキーヘップ)で頑張って上がっていき、
すると古い大きな家がそこにぽつんとあって表札を見たらユキちゃんの名字が書いてあった。
玄関の戸が開いてたので「すみませーん」と声をかけたら中からおばあちゃんが出てきて
「ユキちゃんいはりますか?」と聞いたら「ユキは水やり当番で学校に行ったよ」と言われた。


水やり当番で(夏休みに)学校に行った。

ほらー!見てみいや、(本家の)おっちゃん!!!
ユキちゃん、やっぱ不良じゃないやん!!



と、私はそうプンスカ憤りつつ、
でも本家のおっちゃんによる何か圧力ではなかったんだということにホッとしつつ、
上がった時よりさらにすべりそうになりながらその坂を必死で降り(一回こけて尻もちついた)
おばあちゃんに教えてもらったユキちゃんの学校までこのままユキちゃんに会いに行くことにした。


だが。


「前の道(県道)をまっすぐ」っていうその情報を元にずっとまっすぐに歩いても、
どこまで延々延々まっすぐ歩いても歩いても学校の影や形がいつまでも全く見えてこないので
もしかしてまっすぐの方向(左右)を間違えたのか?と不安になったが
いや、でもおばあちゃんは確かに「(坂を降りて左に)まっすぐ」って言わはったので
おばあちゃんがボケてないことを祈りながら、私は炎天下の中を延々とまっすぐ歩き続けた。

途中、何回かもうほんまに嫌になって正直引き返そうかと思ったが
だが引き返すにしてもまたこの道を延々と戻らなくてはいけないので逆にそれもいやだと思い、
人とも車とも犬とすらも一切すれ違うことのないその県道を、一人でずーっと歩き続けた。

「毎日こんなふうにして学校に通ってるユキちゃんらってもうほんま凄いな」と思い、
ユキちゃんと友達になるまでは暇で暇で退屈で仕方なかったこのど田舎をなんか凄いと思った。
こんなとこで育ったやつと本気で喧嘩したらもう体力的に負けるかもわからん…と思った。


そうして、やっとやっとやーーーーっと着いたユキちゃんの学校は
小学校と中学校が同じ敷地内にあるらしく、連名の看板が門の前に建っていた。

セキュリティにいちいち厳しくいちいち門を閉めているうちらの街中の学校と違って
それはとてもウエルカム的な感じでもう全開で門が開いていたので、
「今ウエルカムされたな」と判断した私は、そのまま敷地内に入って行った。

すると、入ってすぐの校庭で走ってた子ら(部活?)が走るのをやめてなんか集まりだし、
その中の一人が明らかに私の様子を伺いつつそっと、だがバレバレで校舎のほうに走って行った。


「うわ、なんかあいつチクりに行きやがったwww」

「てか殴りこみとかそんなんちゃうねんけどなー。見てみ?丸腰やし」



でもそこで立ち止まるのも逆に怪しいので、
とにかくここは水やり当番のユキちゃんを探そう、ユキちゃんに会えたらその誤解も解けるはず、と思い
歩みをそのまま止めないでいたら、校舎の中からさっきのチクリ女が先生を数人連れて走って出てきた。

そしてさらにその後ろから(校舎に居た?)制服姿の生徒らがわらわらと出てきて
そしてさらにその後ろから、どっから湧いてきたんかわからんジャージ姿の生徒らがわらわらと出てきて。


「ごっつ閉鎖的やん全然ウエルカム的とちゃうやん!なんか騙されたwww」



とか思ってたら、その湧いてきた生徒の中になんとユキちゃんが居た。
ちなみにそこにはいとこのチュータ兄ちゃんも居た。

ユキちゃん「りちちゃん!?なして(どうして)!?」
私「ユキちゃんに会いに来たん」
ユキちゃん「えーうれしいありがと!そうかーりちちゃんやったんかー!…なんかね、ほんまもんのヤンキーが学校の中歩いとるらしいよって聞いたけ、急いで走って見にきたほw」
私「ほんまもんのヤンキーってなんやねんwてかヤンキーちゃうわ!www」

っと弁解する私のファッションは
胸元に派手なロゴが入った薄紫色のメンズもんのTシャツに、下は黒のスパッツ、
足元は黒地に金糸で龍の刺繍を施したペタンコのサンダル(俗に言うヤンキーヘップ)、
という、いわゆるもうまさに「ホットロード・ルック」のまんまだったので、
そんな二次元(漫画)でしか見たことない人がいきなりここに現れたらこの騒動もさもありなんか、なんかごめん。


てなわけで。

「ユキの友達じゃったかー」ということで、色々な憶測やあらぬ誤解が無事に解けた私は
ユキちゃんに会いに来ただけなのになんか職員室にまで招待してもらって、
「ここまでほんまに遠かったから歩いててちょっと泣きそうになったんです~」ってことを話したら
先生方が「それはご苦労さんじゃったね~」と笑って、冷え冷えの麦茶を淹れてくれた。

ユキちゃんの担任の先生に「京都の中学校はどんなかや?」と聞かれたので、


「窓ガラスが常にどっか割れてるんで冬は廊下が寒いです」
「こないだ体育館のカーテンが燃えたんで臨時の全校集会がありました」
「木刀持ってるヤクザみたいな用務員がいて、悪いことしたら半殺しにされます」



と答えたら、それまで和やかだった職員室の先生方が笑顔と言葉を失って固まってしまわれた。
「自分はこの(ど田舎の)学校の教師で良かった…」と、なんかそう思われたに違いない。


余談だが、ユキちゃんの友達や後輩が「紹介して、紹介して!」となんか群がってくる中、
逆にいとこのチュータ兄ちゃんは、なんかもう完全に他人のフリをしていた。
(てかどうせこの狭い村ではいずれ、ユキの京都の友達=チュータの京都のいとこ、ってバレると思うんだが)
だから私は、チュータ兄を怒らせたんかなあ?と思って、家(本家)に帰ってからチュータ兄に
「今日学校行ってごめん。なんかいややった?」と聞いたらチュータ兄は
「いややなあ(ない)よ。…なんちゅうか、りちをユキに取られたような気がしたんじゃ」と言った。


話戻って。

そうして暇で暇で退屈になっていた私の帰省は、ユキちゃんとの出会いでなんか変わった。

高校生になっても社会人になっても私は、夏休み・盆休みになるとそこに帰るようになり、
それはもはや親の帰省の便乗ではなく、自分のバイト代や給料で、
あえてあの何もないど田舎に自らの意志で「帰省」をするようになっていった。
何故ならば、自分にとって懐かしいあの場所に省って、懐かしいユキちゃんに会いたいから。
あの場所はむしろもう「私のふるさと」だから。


ちなみに、「ユキちゃんと会えない時」は、恥ずかしながらほんまに「文通www」してました。
年と時代を追うごとにそれは電話やメールになっていったけど、ユキちゃんとの交流はずっと続いています。

「高校を卒業したら絶対都会に出る!田舎は嫌いなほ!私は都会でキャリアウーマンになるけん!」
と、もうさんざんそう言っていたユキちゃんは
高校を卒業した二年後に結婚してお母さんになって、今もあのど田舎で暮らしています。
そんなユキちゃんの旦那さんは、中学三年生の頃にユキちゃんが
「ある高校に好きな先輩が進学したから来年そこを受ける」と話していた、その「好きだった先輩」で。

「なしてこげんなったかね?私こんなとこで終わるはずやなかったのになー」
とか言うて嘆いてるけど
逆に私から言わせれば、「ユキちゃん、それはステキな奇跡やでー」
「下の息子が根性なしでね~なんも身につかんっちゃ。あの子はいよいよいけん、どうにかせんと」
とか言うて悩んでるけど
逆に私から言わせれば、「でもあの道のりを毎日登下校してるんやろ?息子くん、根性あると思うでー」



あとがき。


って、これ書いてるうちになんかまたちょっと山口に帰省したくなってきた。
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  1. 2010/08/12(木) 02:28:58|
  2. 思い出のネタ(学生編)

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Author:りっさん

京都に生まれ京都で育ち、          放浪の末、京都に舞い戻った女

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