どんつきを右に曲がって左のかどっこ

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走るいちご ~第一章・ファイナル~ ・2

さて、 この 続きです。


そうして遠くに見えたゼッケン○番(いちご)は、今まで駆け抜けて行った子らと同様、
「てかそれマラソン(長距離)の走りかよ!?」と思うほどの勢いで走り込んできて、一気に顔が見える距離まで近付いて来た。

え、ちょ、あいつ(いちご)も 速っやっっっ!!!


そもそも、マラソンってこう、「エッホエッホ…」みたいなペースで黙々と走る、ってイメージありません?


京都は国際駅伝とか全国駅伝とかあるんで、駅伝バカのオトンに連れられて子どもの頃に何度か観に行ったこともあって
実際に走ってる選手を沿道(間近)で見たら、その一歩がとんでもなくでかくてあっという間に走り去るんでビビッたんですが、
テレビで観てたら、なんかこう「トントンサクサク…」といった感じでわりとゆったり走ってはるように見えるじゃないですか?

ただああいう大会は走る距離が長いんで、速いは速いけどおそらく色んな配分をしながら走ってはると思うんですが
今回、約1500メートルを走るいちごの「それ」はもうほんまに短距離の走り(全力疾走)に近い速さだったので、私はかなり怖気づいた。

「こいつこんなスピードでずっと走ってきよったんか!?エエエーーーッ???」
「てかもう軽く1キロ以上走ってんのにおまえ、一体どんな体力してんねん!?」


いちごはかなりしんどそうだったが、でも、めちゃめちゃ真剣な顔で、もう文字通り「懸命に」走っていた。
私はこれまで走るいちごの背中しか見たことがなかったので、いちごのそんな表情を見るのは初めてだった。
いや、これまでも何回か(行ける時に)競技会とか記録会とか見に行ったことはあるんですが、
それらはほとんどでかい競技場やグラウンドで行われるので応援席(観戦席)は二階三階に設けられてるんで
ピッチで走るいちごを爪楊枝かご飯つぶぐらいの大きさでしか目視できないことのほうが多かったんですよね。
「あーなんか走ってるわ~。あ、あれかな?次かな?あれそうやんな?…おー走った走った~。お疲れさーん」みたいな。

そうして初めて臨場感タップリの中で「走るいちごの顔」を間近でまともに見た私は、
いちごに頼まれていたあの掛け声、「いちご、ラスト上げろ!」をここで本当に言うてええもんか?と悩んだ。
スタートからここまでのこの長い距離をこんなダッシュで走り続けてきてんのに、ここでさらにまだ「上げろ!」とか言うて
ほんまにさらにもっとピッチ上げよったら、こいつもう心臓破れて死んでまうんちゃうか?と思って、ごっつ怖かったんですよね。

と、0.01~0.05秒ぐらいで迷っている中、
いちごはもうすぐそばの至近距離まで来ていて、沿道でいちごの名前を呼ぶ私のほうをチラッと見た。





今 こっち見た 気がスル━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!! 





ってだから ここは「ジャ○ーズのコンサート会場」かとww




いちごは私の顔を見たそのほんのわずかな一瞬、ちょっと安心したような表情を見せた。
そしてそれを見た私は何故か、さっきまでの「あの言い知れぬ恐怖」がどこかに消えさり、



「いちご上げろ!!!」



と、大声で叫んだ。と言うか、もう叫んでいた。


それはいちごにそう言うてくれと頼まれていたから、ではなく完全に「自分の気持ち」で。
「ここまでそうして懸命に走ってきたんやったらもう1ミリの力も残らんぐらい全部出しきれ!!!」と。

そしてさらになんと鬼畜なことに、それに続けて私は



「あと一人抜け!!! あと一人抜いたら10位や!!!」



と、そんなことまで叫んでいた。



ちょっと前に、いちごが都道府県対抗女子駅伝をテレビで見ながら、
前にいるランナーを追い上げてる選手に「行け行け!抜け、抜かせ!」と声援を送ってたんですよね。
なので私はいちごに「この選手のファンなん?」と聞いたんだが、いちごは「別にファンというわけではないけど」と言った。

私「ほななんで、抜け抜け!とか言うん?」
い「なんで、って…抜かそうとしてはるから」
私「でも、抜け!って言われて『抜かしたい側』はええかもしれんけど、『抜かされたくない側』はそんな声援が聞こえたら気ぃ悪いやんか~ママそんなんよう言わんわ~」
い「ママ考えすぎwww」
私「そうかなあ~。でもママはやっぱその掛け声はなんかいややわー。『抜け!』ってなんかもう露骨すぎるやん~」

と、そうして、あまり好きではなかった「抜け!」という掛け声をかけてしまった自分にもビックリしたが、
絶対へとへとに決まってるそこからさらにまだピッチを上げて前方の選手を追い上げて行くいちごに腰が抜けそうになった。



ほんま何なの、あいつ どうなってんの???



コースの先が緩やかなカーブになっていたのでゴール(次の中継点)まで見えず
急激に小さくなっていくいちごが前のランナーの背中を捉えたところまで、で、いちごが視界から消えた。


ちなみに、走るいちごの耳には「いちご上げろ!!!あと一人……」までしか届いてなかったようで
「あと一人ってなに?あと一人で何かあんの?」と思いつつ、
「あと一人と言うなら、とにかくあと一人!」と、ラストを思いきり上げて行ったそうで。
走ってる時は現状(自分)の順位ってわからないもんらしいですね。
それこそプロの選手なんかやとその辺も数えながら前の走者を待つ余裕あるんかもしれんけど、
小学生のいちごにそんな余裕はなく、もうとにかく次の走者にタスキをつなぐことに意識を集中していたらしい。



話戻って。


と、そうして初めて「その最前線」で走るいちごを見た私は、なんかもうフラフラの放心状態だった。
ちなみに隣の兄貴はもう完全に「熱く」ならはったようで、後続の選手が走りくる度、大きな拍手をしながら
「○○小!」とか「ゼッケン○番頑張れ!」と、熱いエール(多分涙目でw)を送り続けてはりました。
逆に走ってる子らにしたら「どこの誰や全く知らんおっちゃん」やったと思うが、兄貴の声はきっと届いていたと思う。

そうしてしばらく兄貴と一緒にエールを送り続けていたら、兄貴が
「ちゅうかおまえ、(走り終えた)いちごのとこ(ゴールの中継点)行ったらんでええんか?」と言ったので
「え?あ、そうか。そうですよね、ほなちょっと行ってきますわ」と、言われてやっとそれに気付いた私は
「私もいちごちゃんとこ行く!」という兄貴の娘二人と一緒に、いちごの居る中継点までのそのそと歩いて行った。


そうして中継点に着いたら、テントの脇でいちごがロープ越しに応援に来てくれた友達らとなんか話していたので、
私はそこから少し離れた場所でその様子をしばらく見ていた。
いちごは疲れてるけどやりきった顔をしていて、友達らはいちごの頭を撫でたり抱きしめたりしていた。

「あいつ幸せなやつやなーええ友達が居てくれてるねんな~。私(親)の出る幕ないやんwやっぱ兄貴とこ戻ろ」

とか思っていたら、ふと視線を横に向けたいちごに気付かれてしまい、なんとこっちに向かって歩いてきたので、
「え、来んのかよwてかおまえもうツレらとこにずっと居れやw」とかなり動揺しながら私は、ロープ越しにいちごと対面し、
「感動して泣きかけたわ」とか、なんかそんなことを淡々と言ったと思うけど正直あまり覚えていない。

ちなみにそのゴール地点で「走るいちごシリーズファン」のツレ(元会社同期)に出会い、
「てか、こっそり来てたんかいwww」と内心笑いながらも非常に感謝した。 ひらちん、ありがとうな。


そして、結果。


目標としていたトップ10には入れなかったけど、彼ら彼女らは「かなりええとこ」までいき、
いちごも、あとから聞いてビックリするほどの区間成績をおさめ、さらに昼間の中継を晩にテレビ(放送)で見たら、
タスキを貰った時は40~50メートルほど差がついていたのが渡す時は一秒差にまで詰めていた。


いちご「そうか……あと20メートルあったら抜けたかもなー!もうほんま悔しいっ!!!」
私「たらればで言い訳したらキリないんちゃうの?君らスポーツマンの世界は特にそうなんちゃうの?知らんけどねw」
い「そうなんやけどー!w…あ~~~みんなでヒーローインタビュー(トップ3の)受けたかったな~!」
私「(手をマイクにして)いちごさんお疲れ様でした!今日の感想を聴かせてください!」
い「ええっwww……えっと(姿勢正して)、えっと、…みんなで目指してたトップ10に入れなくて、終わってからいっぱい泣いたけど、でもこれが自分らの今の力なんやと素直に受け止めて、明日からまた努力します。支えてくださった方々、応援してくださった皆さん、ありがとうございました!!!」



そこでママがひとつだけ言えることは……



なんも、「何も」 ないわ。


てか、あんた 「輝きすぎ」 ですわ。




いちごはその大会翌日からまたいつも通り今まで通り…なんやけど、
多分きっと今まで通りではない「何か」に向けて、朝練、放課後を相変わらず走り続けています。
そして、中学に入って勉強が難しくなっても、やっぱり陸上(中・長距離)はずっと続けたいそうです。
「陸上、陸上になって勉強を疎かにするようなことは絶対にならないし、しないから、陸上を続けたい」と。


てか、逆に親の私が言いたいのはあんた、


「陸上」を理由にして、「勉強」を疎かにしたこと、ないやん。
「そこ」を突っ込まれるまでもなく、「どっちも」両立してやってきてるやん。




走れいちご。

ただ、ママは「走るいちごの懸命な顔」も好きやけど、正直見てるこっちが心臓ぶっ壊れそうになるんで、
ママはこれからもまた「走るいちごの後ろ姿」をずっと、ずーっと「ここ」で見てる。

走れいちご。 もう好きなだけ「走れ」。 っていうかもう一生走っとけ、走っていけw







おまけ。


大会を終えた夜、いちごが言うてたこと。


「このレースは一人じゃなかったよ。マキ(*)と一緒に走ってた」


*予選会で同じくリザーブに入った友達(仲間)だそうで、
「本選は一緒にメンバーに入ろう!」と誓い合ったのに、いちごは本選でメンバー、マキは本選でもリザーブだったそうで。

いちご「マキの悔しさは、予選で一緒にリザーブ(補欠)やった私が誰よりもわかってる。でもそれでもマキは笑って、『本選、私の分まで頑張ってな!』って言うて、私を本選に送り出してくれた。私がマキの立場やったらああして笑って送り出せるかな?って思った。でもそれをしてくれたマキは凄いし強いと思った。私の中にマキが居てくれたから私は走れたんや。だからずっとマキと一緒に走ってた。それに、マキだけじゃなくて、リザーブやメンバーには選ばれへんかったけどずっと一緒に練習してきた仲間みんなの思いと一緒に走ってた。だから、このレースは一人じゃなかった」



「祝勝会(*)にママが来てなくて良かった」


*大会&閉会式終了後、本選に出た子らは「学校解散」の元に学校に帰ってきて、するとそこには、
「彼ら・彼女ら」を待ち受ける地域の方々や、本選に出た子らの保護者らも「迎えがてら」何とはなく集結していて
そうした人々に迎えられた中、本選に出た子らが一人ひとり感謝の言葉や感想を述べ、
そうしてるうちに頬に涙が伝ってきて、と、なんかみんなでいっぱい泣いた「感動の場面」だったらしい。

私「へー。そんなんあったんや?」
い「本選走った子の中で迎えに来てない親はママだけやったわw」
私「え、てか逆に『本選出た子の親は学校に集まって迎えてあげてね』みたいな学校からのお達しとかなかったんですけどw」
い「そんなお達しがなくても『普通のお母さん』は来てはったけどね、全員w」
私「そうかー…。なんかごめんな~『普通のお母さん』じゃなくてw」
い「っていうかママがこの大会にテンション上がって、今までそんなんしたことないのに今日だけは迎えに来るとかしたら逆に引くけどww」
私「wwwwwほんま『いつも通り』の感覚やったわ~。いちごはそこに一人で出かけて、目一杯走り終えたらまた一人でここに帰ってくるやろ、っていう。あかんかったかな?」
い「ママはそのままがいいよwそれがママやもんw…てか、祝勝会にママが居てへんかったからいちごも泣けたし。ママが居てたらいちごは泣くの我慢してたと思う。だからママが来てなくて良かったw」
私「『ママが居てたらいちごは泣くの我慢してたと思う』発言は逆にもう、『ママの前で泣いた』も同然ちゃうん?w」
い「そうかもしれんけど、でも微妙に違うねんww」
私「…なんでママに泣いてる顔を見られたくなかったん?」
い「だってママとは涙よりも笑いをしたいからw ママがいちごのママで良かったよ、たまに腹立つ時あるけどw」
私「wwwww 心配すんな、私もあんたにはたまに腹立つ時あるww」
い「wwwww」
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  1. 2011/02/21(月) 04:19:21|
  2. 「走るいちご」 シリーズ

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りっさん

Author:りっさん

京都に生まれ京都で育ち、          放浪の末、京都に舞い戻った女

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