どんつきを右に曲がって左のかどっこ

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昼下がりのジョージ 後編

さて、前回の続きです。

丸っぽ揚げ茄子弁当の衝撃に完全にやられた私たちは、
もうとどまることなくボロクソに弁当ネタで盛り上がり続けていた。

ウイーーン。

入り口の自動ドアの開く音。

どんだけダベってても、その音を聞くと反射的に体は動き、また、声となる。
客のほとんどが「一人客」な店やから、客の顔を見るまでもなく
ファーストアクションのしかるべき準備と役割分担が自ずと組まれる。

「いらっしゃいませ~」 の発声と同時に、
トレーを掴むナガカワ、
ピッチャーの水をグラスに注ぎ、ナガカワのトレーに乗せる私、
同じく、おしぼり・灰皿をトレーの端に乗せるじょん。

そんなグレートなチームワークを見せる私らの目に飛び込んできたのは。

細い縦じまの白いスーツ with サングラス(at 真昼)

真っ赤なメイド服着てる私らが言うのもあれやけど、絶対的に浮いてる。
そんなん着てる人、見たことない。Vシネマでしか見たことがない。

しかもその後ろからコバルトブルーのスーツやら、バラの刺繍入りジャケットやら、
ブルーフォックスだかの毛皮のコート着てたり、葬式帰りぐらい全身黒やったり、
かと思えば、ワイキキビーチに迷い込んだかと思うような派手なシャツ着てたり、
もう、クレヨンぶちまけたみたいな色彩がぞろぞろ入ってきた。
その集団は、口開きっぱなしの私らと、A席のわずかな客を放置プレイしたまま、
なんかまるで予約してたかのように、普通に奥のC席の大テーブルを陣取った。

ポカーンなってたら、さっきのワイキキビーチの一人が小走りに戻ってきた。

「ホット12、メロンソーダ 1 」

それがオーダーなんやと気付くまでに、30秒ぐらいかかった。
とりあえず通さなあかんから、おねえさん(喫茶担当)にオウム返しで伝えた。

私 「ホット(コーヒー)12、メロンソーダ1 です」
おねえさん「…ねえ?」

いや、わかる。

なんかわかるよ。 受け答えとしては完全におかしいけど、あれやろ?
「(あの集団は何が一体どうして、なんなんでしょう)…ねえ?」 やろ?
まあ、ホールは何とかするから、あなたは早くホット12、メロンソーダ1 に着手するのだ。

無言のまま、3人で「ホット12、メロンソーダ1 」の、ホール側の準備をした。
ソーサーとスプーン並べたり、ミルク入れたり、ストロー1個出したり。
そんな一連の作業を終え、私たちは「待機スペース」に戻った。

ナガカワ「…なんで?」
私   「なにがやな。あっち(C席)見るな」
ナガカワ「ちゃうねん。…誰?」
私   「知らんがな。誰ってそらもう…あれですよ」
じょん 「ヤク……? ん~~。 (言うのを)やめとこ~ こわい~」
私   「うん、やめといてくれ。むしろ、私はあんたが怖い」
ナガカワ「じゃなくてさあ!!!……メロンソーダは、誰…?」

そこかーーー!!!

アホのナガカワの素朴な疑問のせいで、緊張感は一気に喪失し、
メロンソーダは誰のオーダーか、って予想で盛り上がり始めた。

ナガカワ「ジョージやな」
私   「誰やねん!」
ナガカワ「オーダーしに来た、アロハのジョージ」
私   「ハハハハ!!!ジョージっぽい、ジョージっぽい」
じょん 「でも~ 実は~ 組長かも~。一応~ サクランボふたつ 入れとく~?」
ナガカワ・私 「なんの一応やwww」

くだらん漫才してる間にオーダーが上がった。
誰が持って行く?って相談はもうあえてする由もなかった。
3人とも「メロンソーダは誰か」が気になってしゃあない。
大きいほうのトレーに、ホット12、メロンソーダ1 を3分割して載せて、3人で行った。

3人「おまたせしました~」
ジョージ「あ、自分が(やります)」

立ち上がったジョージが「そこに置いといて」的な余計な気遣いをしたせいで、
とりあえずトレーから順に降ろしたものの、
メロンソーダの落ち着き先はわからずじまいだった。

そしてその後すぐ、
ジョージは謎のステップを踏みながらC席入り口付近にやって来て、
不思議な音程で謎の口笛を吹きながら、そのままずっとそこに立っていた。
待機スペースにいる私らと、アロハのジョージの距離、だいたい3メートル弱。

てか。ジョージ、見張り?

メロンソーダの主を暴くという楽しみを、私らから奪った上に、
さらに、「密かに聞き耳」までも奪うおつもり?

なんか、だんだんちょっとジョージにムカついてきた。


ナガカワ「ジョージはもう、ホンマいらんことばっかりしよんな~!」
私   「なんたって、アロハのジョージやからな」
じょん 「みんな~ なんの話~ してはんねやろな~?」
ナガカワ「なんかモメて誰かキレて、チャカとか出てきたりして…。流れ弾、怖ッワ~」
私   「えー。今死にたくないな~。彼氏とまだ一週間しか付き合うてないのに」
ナガカワ「ああ、あの変な彼氏な」
私   「変な彼氏言うな」
じょん 「え~ ナガちゃん~ りちの彼氏に~ 会ったん~~? ずるい~~」
ナガカワ「会った言うか、うちとこの文化祭につれてきよった。変な彼氏」
じょん 「え~~~? 女子高の 文化祭に~? 彼氏つれて~~~???」
ナガカワ「彼氏違うで。変な彼氏やで。…な?こいつ、最悪やろ?」
私   「ふふん。ナガカワをうらやましがらせたろと思ってな」
ナガカワ「全然うらやましくないけどな、あんな変な彼氏」
じょん 「私も~ 彼氏… 欲しいな~」
ナガカワ「それは、普通の彼氏?それとも、変な彼氏?」
私   「変な彼氏変な彼氏、しつこいねんもうー!黙れブサイク!!!」
ナガカワ「うっさい!チビは死ね!死ねええ~~キョェ~~!!!」

ナガカワがキ○ガイ発作を起こして私の首を絞めた。(日常茶飯事)
負けじと私も背伸びしてナガカワの首を絞めかえそうとしたけど届かなかった。



「ネーちゃん」


うわあああっっっ!!!!!!!!

いきなり背後から声がして飛び上がった。心臓止まりそうなほどビックリした。
振り返ったら、もはやネタの旬を過ぎたジョージがそこに立っていた。

ちゅうか、ビックリさせんな!!!しばくぞジョージ!!!!


ジョージ「便所、どこ?」


便所どこって、あんた。
今しがたまでずっとあんたが立ってたポジションの真後ろにあるんやけど。
ちゅうか、全く周り見てへんやん、あんた見張り役ちゃうん?大丈夫か?
いやいやいや、でもこういうタイプほど実は危ないからな。
なんかキレさしたらチャカ出てくるで、チャカ。ここは慎重にいかんとな。
アホのナガカワ、ノロマのじょんに任せたらえらいことになる。
ここは、こいつらよりズバ抜けてしっかり者の私が冷静かつ速やかに対応せなあかん。
「この店はもう、おまえ(ジョージ)の好きにはさせないぞ!!!」
そんな、日曜朝8時枠のヒーローモノ的使命感がやたらと湧いてきた。

「お手洗いはこちらです」
流れる川のせせらぎのように緩やかに右手を差し出し、私はジョージをご案内した。


女子便所に。


「ぶほっ!!!」 「クスクス…」

後ろでナガカワが思いきり吹きだした音と、じょんの堪えた笑い声が聞こえる。
私自身、「やってもうた自分」の愚かさに笑いそうになった。
ジョージは私が差し出した右手の先、女子便所のドアを見つめてキョトンとしている。

ちゅうかヤバい! アロハでイラチのジョージ(勝手に決めつけ)がキレる!
「わしがオカマに見えるかー!」とか言うて暴れだしよるかもわからん!
チャカ出てくる、チャカ!!! 早く訂正や、訂正せんと!!!

「し、失礼しました。こちらです」

体の向きをずらして左手を差し出し、女子便所の向かって右隣の男子便所を案内した。

が。

先ほど間違えて女子便所の方向に差し出した右手をしまい忘れていたので、
胸の前で右腕と左腕がクロスした状態の、なんか変なポーズになってしまった。

自分でもビックリした。

なにこの私の腕。 こんなんもうフォークダンスやん。「マイムマイム」やん。


「さあ、踊りましょう」みたいな状態で立ちつくす私を訝しげな目で見ながら、
ジョージは無言で男子便所に消えていった。

私はマッハの速さでナガカワとじょんが狂ったように笑い転げる待機スペースに戻った。

ナガカワは先ほど私が奇跡的にあみ出したあの「ハイパークロス・アーム」のポーズで
口に泡吹いて笑いながら、しつこくしつこく私を侮辱した。

ナガカワ「なにこれ?なにこれ?手品?魔法?創作ダンス?ぶはははは!!!」
私   「いやもうなんかわからん。自分がわからんww」
じょん 「あはは~。 そういうことも~ あるって~」
ナガカワ「いや、無い。(ポーズ取り)これはない!なにこれ?なんかの技?宗教?」
私   「うるさいねんだまれ!ジョージがトイレから出てくるやろー!」
ナガカワ「ジョージ出てきたらまたこんなん(ポーズ)すんの?ww」
私   「せえへんわ!www」 


ジョージが鼻歌交じりにトイレから出てきてからも、
ナガカワはジョージにバレるかバレないか、そのギリギリの速技で
ジョージに向けて密かに「ハイパークロス・アーム」を放っていた。
その度に私はナガカワの尻を蹴り上げて、カウンター奥に引きずって閉じ込めた。

基本的に周りを見てない見張り役のジョージはそれには全く気付かず、
なんか歌い、そして変なステップを踏みながら定位置に立ち続け、
時折、股間に手をやってチ○ポジを直したりして、
うら若き乙女である私たち3人の熱い視線を捕らえて離さなかった。


しばらくして、奥のC席がざわめき出し、
「ああ、そういやあの集団がいたんや」ということを思い出した時、
カラーチャートみたいな、恐怖の「チーム・レインボー」が奥からぞろぞろ出てきた。

結局、なんの集会だったのかさっぱりわからなかった。
私たちの意識を完全に「集会そのもの」から逸らした「アロハのジョージ」は、
なかなか優秀な見張り役だったのかもしれないと、今となっては思う。

一番威圧感のある人(ボス?)がちらりとこちらを見て、
「ごちそうさん。また来るわ」と言ってニヤッと笑った。


おねえさんは全身の力が抜けたように、ほ~っとため息をついて、
「順番に、お茶休憩にしましょうか…」と言った。
お気楽おふざけの私らをよそに、おねえさんは真剣に心臓バクバクやったらしい。

「りっちゃんには本当にハラハラさせられたわ…」と半泣きで言われたので、
もしかして今月から時給が下がるんちゃうやろかと私もハラハラした。


その日の「お茶」のオーダーは当然、笑いながら、3人とも「メロンソーダ」にした。
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京都に生まれ京都で育ち、          放浪の末、京都に舞い戻った女

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