どんつきを右に曲がって左のかどっこ

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流血パニック・2

私は頭の中を整理した。

この状況からいって、痛みを今すぐ止めるのは無理。
だって、膝ごっつ切れてんねんから。

だが、ラッキーなことに痛みだけなら「ポーカーフェイス」という対策で乗り越えられる。
「全然痛くないという暗示」という特別対策もある。

問題は、「流血」
これを止めんことにはもうどうしようもない。
もしこれ、ホールで、お客さんの前で一滴でも「ポタッ」っていってみ?
膝から血滴ってる店員に「いらっしゃいませー」言われるねんで?
そんなんもう、

「お化け屋敷にようこそ~~~」 やんか。


冷静な現状把握ならびに不具合点の追求の結果、私は当面の目標に「止血」を掲げた。
具体的な目標数値は、「流血、0ミリリットル」。
一滴、いや、ひとすじたりとも流してなるものか!


キッチンペーパーで傷口を押さえ、右足を引きずってカウンターの中を歩きながら
とにかく、もう一度手当たり次第に絆創膏を探した。
弱気になって、リーダーの携帯に電話して絆創膏が店にあるかを聞こうかとも思った。
でも、もう一人の私が
「ええーっ?そんなことで電話すんの???おまえはホンマにアレやな」
と呆れた口調で呟いたので、なにくそと奮起した。


っていうか、傷から溢れる血を外から抑えるんじゃなくて内から抑えればいいんじゃね?
指とか切ったら付け根に輪ゴム巻いてさ、心臓より高く上げといたら血が止まりやすいやん。
でも、指と違って膝やしな…。
太ももにゴム巻いて、足を心臓より高く上げる?
なにそのラインダンス。宝塚やん。「喫茶・宝塚」。よし、歌うか。

♪スミレのはーなー 咲くころー


いや、あかんあかん。だって京都やもん、ここ。宝塚ちゃうもん。
やっぱ絆創膏探そう、もうちょっと探そう。
…って、ねえよ!なんもねえよ!
いや、絶対どこかにはあるはずなんやけど、もうこれ以上の「あて無き探索」は時間の無駄。
そうだ。絆創膏が無いなら、絆創膏を作ればいいのだ!
辺りを見渡していると、紙ナフキンが目に入った。
手とか口とか拭いたり、ケーキとお皿の間に敷いたりする、あれだ。
あるやん!ええのん、あるやん!!!


紙ナフキンを程良く折りたたんで傷口に当て、セロテープで止めた。
カシャカシャした感触が傷に触れて痛かったが、それはもう「ポーカーフェイス」。

と、その時、なんかガヤガヤと話し声と笑い声が入り混じりながら
二人のおばちゃん客がご来店した。

「いらっしゃいませー」

簡易絆創膏をゲットした私にもう怖いものはなかった。
歩くたびに傷に触れる紙ナフキンが痛かったが、血が落ちる気配はない。
テーブルに水のグラスをふたつ、それぞれに置いて、
オーダーを聞こうと、トレーの上で伝票を構えて、姿勢正しく直立した。
…ら。膝の辺りに違和感を感じた。

紙ナフキン、膝からちょっと浮いてる。

そうか!!!
さっき、これ貼った時、私、腰曲げてた!!!
だって、だってな、腰を曲げんと傷口見えへんかってんもん!

腰曲げた状態で膝に紙ナフキンを貼る→腰を伸ばす→ただでさえ粘着の弱い紙ナフキン、なんかぼわーんってなる→傷との間に隙間できる……

流血の危険率アップ。

ど、どうしよう。
とりあえず、傷口と紙ナフキンの状態を確認したい。
安全地帯(カウンター内)に撤収したい。そして次なる対策を練りたい。
幸いにして、おばちゃんらはメニューを手にしたまま話に花が咲いている。
オーダーする気配なんか、さらさらない。
よし、あの台詞で一時退却や!

私「ご注文がお決まりになられましたら、お声をかけてくださいま…」
おば客「待って待って!今すぐ決めるし、待ってて!」


待ってて! 言われた。なんて直接的な引きとめ方。
っていうか、今すぐ決めるとか絶対嘘!
その証拠にほら、メニューあっちこっち開いてごっつ迷ってるやん。
え?何?パフェですか?
ああそうですか。歯が弱いから冷たいものがしみると。だからやっぱりやめると。
ほな最初からそっちのページは見んでもええがな!
おやおやこちらはピラフですか?
何?やっぱりお腹一杯かも?どうしよう?って?
自分がお腹減ってるかどうかは自分の力で認識してください!
私はしがない店員ですから、しかも早くカウンター内に戻りたい!!!

このおばちゃん客の前で流血したら、そしてそれがバレたら終わりや。
絶対騒がはる。
「ぎゃあー」だか「いやー」だか絶叫したあと、
「あんたちょっとどうしたん」とか「見せてみ」とか言われて、
挙句の果てに「庶民の傷療法」で、唾とか塗られるかもわからん。

膝に全神経を集中して、オーダーが決まるのを待った。
さんざん迷って、最終的に決定したオーダーはホットコーヒーふたつだった。
ちょっとだけ泣きかけた。

急いでカウンター内に戻って膝を確認したら、血が固まって紙ナフキンにべったりくっついていた。

これ…。
アリ、っちゃーアリやけど、止血はできてるし。
でも、これ、紙ナフキン外すとき…。

いや、今は考えんとこう、それは考えんとこう。
明日は明日の風が吹くって、オードリーも言うてた。
うちらのサイトはさらに緩い、明日は明日の風まかせ、ですけど。

膝の傷に粘着した紙ナフキンの気持ち悪さに残りの就業時間を乗り越え、
交代のスタッフに申し送りをしてから、更衣室で、気合い入れて紙ナフキンを剥がした。
痛さで変な汗は出たけど、もう流血はしなかった。


チビの保育園のお迎えの時間を遅刻しそうだったので、
雨の中、傘さして頑張ってチャリを漕いだ。
途中で文字通り膝を抱えて泣きたくなったが、それが似合うのはせいぜい10才ぐらいまで。
オーバー30の私がやっても、100円玉落として必死で探してるぐらいにしか思われない。

結局、お迎えの時間に間に合わず、延長料金を払っての遅刻お迎えになった。

着替えなどを袋に詰めて、帰りの用意をしていたら、チビが膝の傷に気付いた。

チビ「ママ。怪我してるー」
私「うん、ああまあな。ほら、早よタオルとっておいで」
チビ「チビちゃんが治してあげるー。痛いの痛いの飛んでいけーーー!」

古より伝わるあの呪文と共に、チビが、私の膝の傷を「バシッ!」っと思いきり叩いた。


「!!!!!!!!!」

どんなんや!!!おかしい!明らかにそれはおかしい!飛んでいってないやん!!!


家に帰るなり、チビが姉貴(上の娘)に
「ママ、怪我してるんやで!」とタレこんだので、
娘が心配して消毒液と絆創膏を持ってきてくれた。


ご飯の用意して子どもらに食べさせて、オトン帰ってきてオトンのご飯用意して
子どもらお風呂入れて寝かせて、ふと、右膝を見たら、
ラップの刃の形をした美しいギザギザラインが、おとなしく私を見上げていた。

明日の仕事も頑張れる気がした。

ラップには、やっぱ牽制するやろけどな。
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  1. 2007/07/11(水) 00:37:31|
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京都に生まれ京都で育ち、          放浪の末、京都に舞い戻った女

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